''かんとうしょうえ''の痛風日記

一病息災と心得て、「よかった探し」をしながら、日々感謝して暮させてもらっています

両刀遣い 右党と左党

両刀遣いと言われても、その筋の話ではありません。
食べ物の話です。

本銀町菓子舗 橘屋の「加茂の月」というと、鶏卵を使った薄焼きの煎餅のような菓子や、喜樂(きらく)煎餅という、表面に砂糖をまぶした煎餅と言えば、鬼平こと長谷川平蔵の好物です。

酒を呑むシーンもよく『鬼平犯科帳』によく出てきます。
まさしく甘いものもお酒も嗜む両刀遣いです。私もまだまた修業の身ではありますが、この類に属します。

右党とは、大工のノミを持つ右手です。「ノミ手」と「呑み手」を掛けています。左党は、まさしく砂糖と掛けています。今でもその言葉が残っているんですね。ちっと粋に感じる言葉遊びです。

私は、正月の甘い黒豆食べながら、お屠蘇(とそ)の酒は呑めます。結構合うと思います。

でも、中には饅頭食べながら、お酒呑まれる方おいでです。饅頭はお茶と頂くほうがより美味しいと思いますがね。まだ修業が足りないのかもしれません。

本質的に和食は砂糖を上手に使います。和食とくに懐石料理は、薄味、出汁を利かせるイメージですが、砂糖も使います。

砂糖を入れると焦げやすいです。それを焦がさずに調理をする。職人の技量の見せ所です。

焚き合わせの材料には甘い食材が入ります。面取りした里芋なんかは甘い味付けです。色は付けません。焚き合せなら、本格的な右党じゃなくても一杯呑めますよね。

炊き合せには、飛竜頭(ひりゅうず)、蕗(ふき)、里芋、人参などが定番でしょうかね。この他に筍とか椎茸とかが入ります。食材の取り合せは無限です。それぞれに別々に味を付けたものを盛り合わせる。これが「焚き合せ」です。この焚き合わせに、最後に「地」という出汁を少しだけかけます。食材が乾かないためでもあります。

この「地」は別に作るので無く、色の付いてない里芋を炊いた汁や蕗の炊いた汁をかける事があります。ですから、焚き合せは、ほのかに甘い感じることがあります。

「飛竜頭(ひりゅうず)」は、「ひろうす」ともいいます。がんもどきの名は、がんの肉に似た味という意味に由来しているようです。シャレた名前です。飛竜頭は、飛竜豆と書くこともありますが、こちらは菓子の世界です。料理の方では飛竜頭と書く方が多いです。ちょっと読めたらカッコいいじゃないですか?

それに料理人の言葉と言うのも面白いです。専門用語というか符牒というのがあります。

おもしろいのに「あにき」と言うのがあります。料理を作るとき、必ず次のものが必要になります。焚き合せなら、調理済みの里芋がなくなりそうになると、次の調理した里芋を用意します。無くなってからでは遅いので、仕込みの時に、今日は何と何が足りなくなるのかチェックします。

里芋が昼の御膳に足りなくなると思えば、冷ます必要がありますので朝から用意します。温かいときには味は食材に入りません。冷えていく過程で味が食材に入って行きます。ですから、わざわざ冷やすんです。

調理した材料は余裕をもって用意します。昼には出来上がっています。ですがまだ使い切っていないものもあるはずです。先に作ったものを「あにき」と呼びます。人と同じです。先に生まれたから兄貴(あにき)です。

職人さん 「あにき持って来い」
新入り 「僕は一人っ子ではいません」
よく聞くの話です。落ちが付いたところで時間となりました。

そう言えば、左党と右党から少し離れてしまいました。こんな日もあります。
世の中そんなに甘くない言うところで2度目の落ちにさせて下さい。

今日も一日無事に過ごせますように、「感謝」の気持ちを持ちつつ過ごします。

長々としたブログに最後までお付き合い下さいましてありがとさんです。