''かんとうしょうえ''の痛風日記

一病息災と心得て、「よかった探し」をしながら、日々感謝して暮させてもらっています

銀色のすずめ

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ここ数日の陽気に誘われた気の早い桜は咲いています。
ソメイヨシノはまででも、幾つかの違う種類の桜は、春と勘違いでしょうね。
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そんな公園のふちに「銀色のすずめ」が止まっています。
あちらにも、こちらにも止まっています。
止まり木は、車止めのケージですね。
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もちろん金属製の作り物です。
一匹ずつ、表情が違います。
よく出来ています。

 

芸が細かいです。
何とも遊び心あります。
微笑ましいです。
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ブロガーとしては、やっぱり写真を撮ります。
人目は気にしません。
わが道を進むだけです。

 

子供が母親と散歩です。
お二人の年配の方がギターの練習をされています。
何かに触発されたんでしょうかね。
耳障りはありません。

 

春ののどかな昼下がり、公園のベンチに腰掛け、しばし春の演舞を楽しみます。
鳥が桜の枝を飛び渡っています。
鶯(うぐいす)でしょうか?

 

何かふと浮かびました。
今日はすずめでしたね。
そう落語に「抜け雀(ぬけすずめ)」というのがあります。

 

小田原の宿で、銭も持たない客(侍)を、そうともしらずに呼び入れた宿屋の主人です。
支払いは出来ないので、その侍がその代わりに新しい衝立(ついたて)に絵を描くという。
自称絵師という侍、真新しい衝立(ついたて)に雀(すずめ)を5羽描いた。

 

毎日、朝から大酒呑んで食っての長逗留です。
料金が5両ですから、雀(すずめ)も5羽です。
呈のいい詐欺ですね。

 

ところが朝雨戸を開けると、朝の日差しと共に一緒にこの雀が衝立(ついたて)の中から飛び出します。そして、ほどよく衝立に戻るという不思議な絵だったのです。

 

この評判に、つぶれかけていた宿屋が大繁盛です。
また小田原の藩主・大久保加賀守が、金2千両で譲ってもらいたいとの申し出まで付きます。

 

そんな中、初老の侍が尋ねてくる。
「抜け雀」を見たいと強引に上がりこんで、絵を見るなり未完成であると言う。
強引に硯(すずり)を用意させ、筆を取り出し、この絵に勝手に鳥かごを描いてしまった。
迷惑な話です。

 

侍いわく、すずめに籠(かご)に止まり木を書いてやらないと、疲れて死んでしまうと言う。
もっともな話ですが、もともと絵の鳥ですからね。

 

時間が経って、絵を描いた武士が帰って来た。
それも立派な身なりになって帰って来た。
すかさず、絵の雀を見た。

 

それを見て合点(がてん)した。(ガッテン。ガッテン。ガッテンです)
自分の未熟を認めた。
鳥かごを書いたのは、この絵師の父親でした。共に名人です。

 

それを見て親不孝な事をしたとがっくりです。
宿屋の主人は合点(がてん)が行きません。
私は親を「かごかき」にしてしまった。(えっさっさーのかごかきです)
これがこの落語の落ちです。
♪ちゃん・りん・ちょん・りん・でん。でん。


この話のように抜け雀(ぬけすずめ)の話はあります。
京都・知恩院(四条丸山公園上)の七不思議のひとつです。
こちらは襖絵から朝、雀が抜け出て餌を食べるといいます。
うわさです。
描いたのは京都狩野派の中興の祖・狩野山雪とも言われています。

 

私はこの話を聞くたびに一枚の桜の絵を思い出します。
同じ京都・知積院(七条東大路)の桜の絵です。
もちろん長谷川等伯の絵が有名です。
しかし、この息子久蔵の国宝「桜図」(智積院所蔵)の絵です。
26歳でこの世をさります。

 

生きていれば、父・長谷川等伯を超えそうです。
この絵はすごいです。短い人生を一瞬で燃え上がらせている絵です。
http://www.city.nanao.ishikawa.jp/nanabi/pages/exhibi/08exhibi/touhaku/touhaku.htm
↑国宝久蔵「桜図」

 

この知恩院と知積院の二つの要素を、落語にしたように思えます。

 

すずめと桜、なんとも共通点のない話ですが、私の中では思い入れがあります。
すこし、胸のつかえも取れました。

 

皆さん、心も体も休める止まり木ありますか?
たまにはがんばり過ぎないことも必要ですよ。

 

春の陽気に誘われて、中年ツバメが街中を徘徊します。
おだやかな気持ちです。

 

生きていることに、生かされていることに感謝の念が沸々と込上げて来ます。
ありがとさんです。

 

最後までお付き合い下さいましてありがとさんです。心よりお礼申し上げます。