最近京都にも、多くのたこ焼き屋が店を出しています。
それも本当の屋台でもなく、中でジュースやビールが飲めるようなイートインタイプです。
テーブルやイスが置いてあり、たこ焼きの販売だけでなく簡単な飲食もできる半店舗のことです。
商店街にも多いです。
それもソースの付けてあるもの、ネギの刻んだものに加え「ポン酢」で頂くものや、マヨネーズを細くかけたもの見た目もいろいろです。
ソースは付けずに醤油ベースの味がすでに付いているもの、キムチのような辛いもの、極めつけは甘いチョコの入ったものと味の千差万別です。
でも正当なものが生き残ります。ソースがつけてあるとか、マヨネーズがかかっているとか、ねぎのトッピングのあるもの、カツオがかかっているとはは別にしても、やっぱり、たこ焼きである以上「たこ」の入った出汁(だし)の効いたベーシックなものが一番うまいです。
粉もんと出汁(だし)は切っても切れない関係なんでしょうね。
関西圏の発想なんでしょう。
私の育った播州では、たこ焼きというと二通りあります。
でも、本来のたこ焼きはソースをかけたりしません。
屋台でも食べません。
たこ焼き屋に食べに行くのです。
朱色の斜めに傾いた台にたこ焼きが載っています。
それを出汁(だし)につけて頂きます。
出汁(だし)は塩味を付けたカツオベース澄まし汁のつけて頂きます。
薬味は三つ葉を刻んだものかネギです。
三つ葉の方が上等に感じました。
神戸市西部から姫路市あたり播州地域にみられます。
これがまた美味いんです。
出汁が常温のお店もあれば温かいお店もあります。
すこし温かい方が焼き上がったたこ焼きの生地とよく馴染みます。
もう一つは屋台で出すようなソースをかけるタイプです。
でもスープに付けるタイプのも取り扱っている屋台もありました。
ここでたこ焼きの簡単な歴史を振返ります。
昭和のはじめ頃に「ラジオ焼」なるものが売り出されます。
ちょうど、昔のスタンドマイクは、たこ焼きのような穴がいくつも開いており、そのようなモダンな道具で焼き始めたことに由来するのでしょう。
今のたこ焼き器の原型のようなものかもしれません。
味付けたこんにゃくなど子供のおやつ感覚だったんでしょうね。
そこに会津屋さんというお店が味付けた牛肉を入れて販売したとコナモン協会の説明に書かれています。
時を少し遅れる事、明石焼と称するたこと卵の黄身をベースにしたたこ焼きの原型が現れます。
異論はいろいろ有るにせよ大体の筋道は一致しています。
私は明石より西の播州の生まれです。
昔から、明石の名物は「丁稚羊羹(でっちようかん)と明石玉」と言われました。
丁稚羊羹(でっちようかん)は小さい食べきりサイズの羊羹です。
丁稚さんでも買えるからとか、盆暮れに家に手土産にしたからとか言われます。
どの地方に同じようなことを言われる名産地はあります。
たまたま兵庫の西の方では明石だったのでしょう。
それに「明石玉」は丸い球体の石の置物です。
これも播州地域の玄関ではよく見かける置物です。
物事を丸く治めるそんなゲン担ぎの縁起物(えんぎもの)です。
この玉を仕上げるのに多くの卵の白身を使います。
白身で磨くとぴかっと光る綺麗な仕上がりの明石玉になります。
悲しいのは卵から白身を取り去られた黄身です。これが明石では大量に残ることになります。
つまり、明石焼きは廃棄物処理の過程から出来た副産物なのでした。
本来好まれる卵の黄身ですが、白身とのバランスあっての卵です。
黄身だけではどうにも使いにくい。
これに出汁を混ぜ、「明石玉」のような丸く焼いたこれが明石焼きなんです。
味だけで言うなら、お好み焼きのような円形でもよかったでしょうし、イカ焼きのような折り曲げた形でも良かったはずです。
その方が作りやすいですし、球体にこだわる必要性がないでしょう。
ここに、明石でよく獲れた蛸(たこ)が入ったのも当然の流れです。地産地消です。
明石では当然ですが、明石焼きとは言いません。「玉子焼き」と言います。
地域によっていろんなたこ焼きあっていいと思うんですが、「もったいない」と食べものを上手に工夫する先人の知恵に脱帽です。
その知恵の恩恵に今私たちはあやかっています。先人に「感謝」したいです。
今日も一日過ごせましたことに「感謝」したいです。
いつもの長文のブログに付き合ってくださった方に「感謝」します。
ありがとさんです。