''かんとうしょうえ''の痛風日記

一病息災と心得て、「よかった探し」をしながら、日々感謝して暮させてもらっています

本所枕橋の「さなだや」

本所の枕橋にある「さなだや」は蕎麦屋です。
実在しない蕎麦屋です。
どこにあるのか?

それは、池波正太郎の時代小説の話の中に、存在します。
池波正太郎氏が、この世を去って10数年が経ちますが、池波ワールドは存在します。

池波正太郎氏はあの世に旅立ったのでなく「江戸時代」に旅立ったと思いを馳せておられるインタビューを聞いたことがあります。でも、その通りです。
折に触れ、江戸の古地図や書物を見ることがあります。
その間私は池波正太郎が作った世界に彷徨(さまよ)っています。

本所枕橋の「さなだや」は、幾つかの作品に出て来ます。
鬼平犯科帳にも登場しますが、短編の小説にも登場します。
池波ファンなら難なくクリアー出来てますよね。

「さなだや」というと、蚤(のみ)の夫婦がやっています。
亭主は、気難しげで五尺そこそこの小柄な痩せた親父です。
女房の方は、老婆ながら五尺七寸ほどある大女、肉おきも豊かで愛想よく、小女もおかないで老夫婦で店をやっています。

普通の蕎麦屋なんですが、正月四日だけは「さなだそば」というものしか出しません。
「舌がひんまがるような辛い汁」で土地の者には口には合いません。
もちろん夫婦は信州出身で、ふるさとでは正月にこのそばを食べる習慣があったので、江戸の店でも商売抜きで出しているんでしょうね。

大根おろしをのせた「おろしそば」は辛いものもありますが、さっぱりとして美味しいものです。
京都には、辛味大根と言うものが市内の北の鷹ヶ峯で作られていると言うのを聞いた事があります。
まだ食べたことはありません。
そばには、山葵(わさび)も含め辛いものが合うと思います。

今から梅雨を過ぎると暑くなります。
大根おろしのさっぱりしたそば食が進みそうです。

基本的には私は、温かいものを食すようにしています。
そばもさっと水でしめたぐらいでのそばが好きです。
冷やしすぎると、風味も香りも良くありません。

そばが来るまで、そば味噌をナメナメお酒を頂きます。
ひやでも燗でも季節ごとに楽しめます。
冷酒は好んで飲みません。

食べ物が美味しく感じないからです。
そばにはそばの美味しい温度があると思うんです。

せっかく作っても食べずに話をしていてはいけません。
そばに対しても、そばを作って下った方にも失礼です。

大根おろしが、そばに浸かって延びてしまわない内に、口中にかき込む。
口中さっぱりするように、お酒で掃き清める。
それだけです。

かの美食家「魯山人」は言います。
そばと酒は合わないと。

口中での相性はさりながら、そば食べ、酒清め、酒清め、そば食す。
これなら合うと思うのですが、どうでしょう。

貧乏舌の私には美味しく頂けています。
でも、私は口や舌を荒らさないように、タバコは呑んでいません。
食べ物は、味だけでなく、香りも美味しさの構成する要素です。
香り大切です。

そばの香りが楽しめる新そばの時期が楽しみですが、それはその季節までのお楽しみです。

日々の生活の中にささやかな楽しみを見つけて暮らしています。
結構楽しいです。
幸せですよ。

「感謝」「感謝」の生活です。
幸せはここ、かしこに落ちていますよ。
拾って楽しく過ごしましょう。

今日もお付き合い下さってありがとさんです。
皆さんに「感謝」です。