''かんとうしょうえ''の痛風日記

一病息災と心得て、「よかった探し」をしながら、日々感謝して暮させてもらっています

逸翁美術館「呉春の俳画と写生画」展、特別公開 重文「白梅図屏風」より。

朝から寒いです。
定型句のような書き出しです。
手足が冷えます。
タツから出たくないです。

先日、いつもの同行カメラマンから、誘いがありました。
逸翁美術館の「呉春」展をやっていると教えてくれました。
もちろん、 重文「白梅図屏風」特別公開です。
あれは2年前のこと、逸翁美術館の「呉春」展で、見た事があります。

あの時は、裏テク?で手に入れた同行カメラマンの招待券でした。
今回は、表の正規のルートで手に入れた招待券での、鑑賞です。
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あれから、2年が過ぎたのですね。
月日の流れは、速いです。
2年前の記事です。

「月日は百代の過客にして、行かふ年も又旅人也」
芭蕉の『おくのほそ道』の冒頭ですね。

俳句と言えば、松尾芭蕉与謝蕪村ですよね。
江戸期の偉大な俳人です。
呉春は、この与謝蕪村の弟子さんです。
与謝蕪村と言えば、俳画でも有名です。

呉春は、本姓は、松村といい、号を「月渓」とも「允白」とも言います。
江戸後期に活躍した画家です。

しかし、これだけ呉春だけを取り扱った展示は、なかなかありません。
それだけ、逸翁の眼力があったことに、脱帽します。

逸翁は、阪急グループの創業者・小林一三氏です。
宝塚歌劇の生みの親と言えます。
財界人としてだけでなく、大臣もされた政治家としても、その手腕を発揮された関西に拠点を置かれた大偉人です。
もちろん、数寄者として、茶人でもあります。

その私財を投げ打って集めた名品が、この逸翁美術館に所蔵されています。
偉業と言えるのは、財を使って集めた至宝だけではありません。

数寄者として、当時価値の薄かったものも、自分の眼力で、積極的に集めたものが、特徴です。
それをコレクションしただけでなく、積極的に茶席にも使ったと言うのも、凄いところですね。
新しい美を見つけたとも言えます。
古田織部や、小堀遠州が、自分の美を見つけたようにです。

新しい美の創造した数寄者・茶人でもあります。
その数寄者の所蔵した呉春の「白梅図」の凄さを言えば、空間です。
「間」とも言えます。
見えない空間に、想像を働かせたイメージの絵画の中に、埋め込ませた技術です。

六曲一双の屏風にあるのは、2本の白梅です。
枝振りの筆遣いに迷いがありません。
色の濃淡に、空間の広がりを感じます。
でも、そこあるのは、その白梅だけです。

春がそこにはあります。
桜でなく、梅が春の訪れを教えてくれます。
そして、そこに感じるのは、奥深い空間です。
そこに、私が立っています。

美術館には、そこに椅子が置かれています。
そこに座って、しばし白梅の花見です。

かすかに梅の香りがします。
そう感じさせる空間が、眼下に広がります。
枝の先には、白い梅の蕾です。

家隆卿の「山里の雪間の草の春を」見せても感じです。
侘寂の世界です。

今回一番気に入ったのは、『桜花遊鯉図』ですね。
光格天皇の求めに応じて描かれた作品です。
呉春と言えば、白梅図の枝振りに代表される力強い筆遣いです。

宮本武蔵の描いた絵のように、その筆遣いに、迷いはありません。
筆が、体の一部であるかのように、武蔵の筆もその修練された剣の手さばきのような、鋭い筆遣いです。
息遣いが感じられそうです。

一転、こちらの桜といい、その二匹の鯉といい、繊細な筆使いに、してやられました。
他の多くの作品にある俳画のイメージとは全く違います。
その桜もいいです。
桜全体を描くのでなく、一部を描くことによって、一面に咲く桜の木々が見えます。
空間の魔術師とも言えます。

桜と鯉の一瞬を切り抜いた絵画です。
でも、鯉の尾びれが揺れています。
桜の花びらや葉も風に揺られて、微かに揺れています。
春風の揺らめきを感じます。
どこかに香る春の薫風です。

この会の展示にもう一つ、鯉が登場します。
『松下遊鯉図』です。
こちらは、呉春得意の迷うのない力強い松の枝振りです。
松ぽっくりも見えますね。

その下に、鯉が一匹います。
墨の色しかありませんが、季節は「夏」でしょうね。
松と鯉、松鯉(しょうり)で、勝利とも繋がります。
時は、日清戦争の時、明治天皇がこの絵を天覧されて、上機嫌であったとかの話あったようです。

鯉が何とも言えず、上品です。
鱗も一列六鱗あります。
鯉は、その為六六魚とも言われると聞きます。
写実を忠実にされた写生力に、驚かされるばかりです。

今年は、辰年です。
龍です。
鯉は、登竜門を越えて、龍になります。
今年に因んだいい絵画ですね。

六六変じて、九九となります。
龍は、一列の鱗が九鱗です。
鯉は、鯉の滝登りで、龍になるという逸話がある魚です。

小さい展示室ですが、その作品の質は、極上です。
逸翁の凄さが、強く伝わります。
いい展示でしたね。
心は、満ちました。

同行カメラマンさん、ありがとさんです。
感謝します。

ありがたいことに、私は仏縁を頂いています。
ありがたいと手を合わせています。

日々の暮らしの中、ささやかな出来事に、よかったを探します。
まさしく、この日は、よかったの盆と正月の連休日でしたね。
眼の保養、眼の正月です。

心に少し梅の蕾が膨らみました。
春も近いといいですね。
東日本大震災の被災者にも、一日も早い春が来ることを祈ります。
春よ、来い。早く、来い。

一日も早い日常の生活を、取り戻して下さい。

心の三毒を廃し、心静かに安穏に暮らしたいです。
それが願いです。

今日も一日、私も世の中も、平穏無事に過ごせますように、祈るばかりです。

最後まで、少しだけ幸せに有利な話に、お付き合い下さいまして、心よりお礼申し上げます。