''かんとうしょうえ''の痛風日記

一病息災と心得て、「よかった探し」をしながら、日々感謝して暮させてもらっています

マグロのブツで、燗酒のすすめ より。

日が暮れれば、肌寒い感じです。
やはり、1ヶ月の前の9月上旬とは、だいぶ違います。
秋も深まり、食欲の秋と来れば、お酒が進みます。

昨日は、松茸ごはんを昼餉に頂いました。
松茸ごはんに向かって、「何処? 何処?」と声を掛けましたが、未だ参上致しません。
そんな、どこに松茸があるのか、不明なくらいですが、今年の初物です。
多分のこの茶色のモノが、松茸であろうと推察した次第です。

とは言え、香りは、仄かにシメジとは違うようなキノコの香りでした。
松茸ごはんと言えば、昔のレストランのバイトで厨房にいた時の事です。
松茸オイルと言うのが、市販されています。

ほんの数滴、炊く前の炊飯器の中に、落し入れます。
すると、炊きたての時に、松茸の香りがします。
要するに、松茸のお吸い物と同じです。

香り松茸、味しめじと言いますからね。
松茸も、それ自体でそれほど美味いものではありません。
土瓶蒸し辺りが、一番楽しめる利料理かもしれませんね。

とは言え、気温も下がれば、晩酌タイムに燗酒が呑みたくなります。
燗酒と来れば、あの川柳を思い出します。

酒は燗 肴は刺身 酌はたぼ

よくいい所を付いています。
たぼは、美人の事です。
肴は、刺身でなく、粋にとする場合も見られます。
でも、燗酒には、刺身が合います。

中でも美味いと思うのは、鯛などの白身の魚を思い浮かべます。
また、少し寒い時期なら、鰤でしょうね。
鰤は刺身にしても、ブリ大根にしても、鰤のカマの塩焼きにしても、魚を食べ尽くしている感じがします。

年中通して食べられる刺身と言えば、先日のねぎま鍋で使ったマグロです。
冷凍技術の発達により、安価に食べられる刺身として人気です。

しかし、生のマグロを食すると、その香りの強いことに驚きます。
生食用のマグロのすき身のいい所を切り取って、マグロのブツにしてみました。
それ以外のところは、ねぎま鍋になりました。

ねぎま鍋も、美味かったです。
鍋が出来るまで、小鉢のマグロのブツで、燗酒をちびりちびりと呑みます。
これには、九谷の猪口がいいですね。
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細川屋敷から屑屋の正直清兵衛に、若い侍・高木が、声を掛けます。
「その屑籠に入っているのは、像(ぞう)か仏(ぶつ)か?」
続いて、「それ売物(ばいぶつ)か?」と、矢次早やに質問されます。

マグロのブツの言えば、落語「井戸の茶碗」のこの台詞が思いつきます。
それに、高木氏が言い放つます。
「バカを申せ。金で金が買えるはずもなし」

この台詞は、いいですね。
この辺が、井戸の茶碗のカタに、千代田氏の娘さんを貰って頂くことに繋がるような気がします。

私の場合は、柳家 さん喬(やなぎや さんきょう)の噺が好きですね。
何とも愛嬌があると言うのでしょうかね。
噺に引き込まれます。
とは言え、身を浪人に置いたとはいえ、長屋に「井戸の茶碗」あろうはずもありません。

井戸の茶碗」とは、室町時代朝鮮半島から渡って来た高麗茶碗の名物で、奈良の興福寺の井戸氏が所有していた事により、こう呼ばれるとネットで知りました。

晩酌には、人情話の落語を肴にして、燗酒呑みましょうかね。
マグロのブツも好きですね。
通常の刺身よりも、趣があります。

四角に切ったりした部位が、なんとも言えず食感がいいです。
とろろの山かけにしても、良かったかもしれません。
とは言え、マグロのブツに、ねぎま鍋と言うマグロつくしのコース料理にご満悦です。
コースたって、2品だけです。

「それでも、コースって言うんですか?」
返事は、もちろん「オフコース」です。(笑)
気分だけです。
もし、後もう少しあれば、ショウガと醤油やみりんで煮込んだ時雨煮もいいかもしれません。

時雨を「ときあめ」とは読まないで下さいね。
「しぐれ」と読みを振ります。
ものの由来は、過去の記事でも紹介しています。

神無月 降りみ降らずみ 定めなき 時雨ぞ冬の始めなりける
よみ人知らず (後撰和歌集・445)

この古い和歌を元に、しぐれ(時雨)と言う言葉と、時雨煮が出来上がります。
命名するのに、この和歌を本歌取りしたものの様です。
蛤の時雨煮の出来た謂れの中に、各務支考が、この和歌から名を付けたとも、書かれているみたいです。
または、権大納言烏丸光広卿が、この和歌に因んだとか言われています。

本当って聞かれても、そういうことになっているみたいです。
「その手は桑名の焼き蛤」ですよ。
どんなに名物でも、焼き蛤を、土産に出来ないですから、お土産に出来るように、時雨煮になったと言う大人の事情が、そこにあるだけです。

大人の事情といえば、この時期、みずほ銀行の事件ですね。
不適切なお付き合いが、その筋の方とあったのは、昔からの恒例の事でしょう。
銀行も商売ですからね。
それを、まるで知らなかったというような、マスコミの対応に、イライラします。
マスコミもスポンサーの不祥事を、ニュース番組で放送しないのと同じです。

えぃーと、今日も晩酌タイムのお酒が進みそうです。
ブツブツとここでも、肴にしてみましょう。(笑)
不適切な事が、有るか無いかなら、マグロだけに有りです。

日々の暮らしの中に、ささやかな幸せがあります。
ありがたい仏縁を得たと、感謝しております。

心の三毒を廃し、心静かに安穏に暮らしたいです。
それを願うばかりです。
今日も一日、私も世の中も、平穏無事でありますようにと念じます。

最後まで、懐事情の向こうに付けた話に、お付き合い下さいまして、心よりお礼申し上げます。