''かんとうしょうえ''の痛風日記

一病息災と心得て、「よかった探し」をしながら、日々感謝して暮させてもらっています

今年の初さんまです。

昨日は牛鍋でした。
やっぱり自分で記事を書いていたら食べたくなりました。
一昨日は、初さんまでした。
さんまも美味いです。
さんまというと歌を思い出します。

♪ 幸せって 何だっけ 何だっけ ・・・・・
それは、明石屋さんまキッコーマンのポン酢の歌ですね。

佐藤春夫の秋刀魚の歌です。
全文は長いので一部抜粋した部分でお気に入りを紹介です。

あわれ
秋風よ
情(こころ)あらば 伝えてよ

という所から始まります。
物悲しいです。
そしてさんまに問いかけます。

さんま、さんま
そが上に青き蜜柑の酸(す)をしたたらせて
さんまを食ふはその男がふる里のならひなり。

さんま、さんま、
さんま苦いか塩(しよ)つぱいか。
そが上に熱き涙をしたたらせて
さんまを食ふはいづこの里のならひぞや。
(「我が一九二二年」(大正12)所収)

そして後半部でも、同じ問いかけがあります。
涙を流しながら、秋刀魚を食らう。

物悲しくも不思議な歌です。
佐藤春夫の人生と照らし合わせると涙の理由も分かります。
さんまをこれだけ歌にした詩人はすごいと思います。
是非全文を読んで下さい。

さんまを食べるときいつもお気に入りのフレーズが頭を過ぎります。

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(青みは野沢菜です。さんまの脂を口中でさっぱりとさせてくれます。口直しですね)

さんまは安いし、美味いです。
関西と関東は少し違いがあります。

関西では、塩さんまを好みます。
関東では、生さんまを好まれます。
私も塩さんまを買い求めます。

塩さんまの方が味がいいからですね。
塩がいい仕事をしています。
まさしくいい塩梅ですね。

さんまは、脂が乗ってくるとクチバシが黄色くなります。
しかし、脂も適当に乗っている時期の方が味はいいと思います。

脂のうま味でさんまのうま味ではないと感じるからです。
もうもうと上がる煙にイメージです。
我が家のグリルでも火事かと思わせる勢いの煙です。
煙の匂いもたまりませんね。
鰻かさんまかといい勝負ですね。

落語に「目黒のさんま」という噺があります。
殿様が外出している最中美味そうな匂いがして来ます。
当然、殿様がこれを尋ね、所望します。
さんまは下魚です。

身分の高い方が食するものではありません。
しかし、焼ける匂いに負けて、一口食します。
「うまい」とぺろりと一皿分食してしまいます。
脂も乗っている上に、焼きたて温かいとくれば美味いに決まっています。

殿様の食事といえば、出来てから、長い廊下を運ばれて、数人の毒味も者を通します。
当然、すこしさめた食事のことでしょうからね。
焼きたてに勝る味はないです。

殿様はお屋敷に帰っても、寝ても醒めてもさんまが離れません。
時に食事のときに食べたいものを聞かれることがあり、すかさず「さんま」をリクエストです。
殿様の膳にふさわしくないと家来は言いますが、どうしても「さんま」をリクエストです。

脂は強いので、まずは蒸して脂抜きです。
そして骨も口にささってならないと骨も抜かれ焼きあがって、殿様の食卓の膳に上がったときは原型を残さないボロボロです。

殿様は、似ても似つわない姿に、疑問を持つも一口食します。
パッサー、パッサーです。

どこの産地のものか訪ねます。
もちろん海に面した産地です。
ここで一言、殿様が言います。

「さんまは目黒に限る」
これがさげです。
♪チャンリン チャンリン デン デン

海のない目黒がさんま産地のはずもありません。
でも、こっけいな噺です。
庶民の味です。

昭和の時代、どこのお宅でも、七輪でさんまを焼く煙が路地のあちこちにありました。
いい時代です。
柑橘類の汁を絞り、はたまた大根おろしを添えて頂く。
日本に生まれて感じる幸せです。

こんなものが美味いのですから、たかが知れています。
でも、殿様も魅了した最高の味です。
この年、さんまも豊漁の年と思います。

値段が安くて飽きないです。
ご飯に、お酒に、最高です。
残念なのは、私は痛風です。

さんまの内臓の苦味も大人の味です。
これを頂けないぞうが残念です。
♪チャンリン チャンリン デン デン

ささやかな幸せが食卓にも上がります。
幸せも舌で感じられます。
ありがたいことです。
元気で今日も過ごせることに感謝です。

最後までつたない話にお付き合い下さいまして、心よりお礼申し上げます。