''かんとうしょうえ''の痛風日記

一病息災と心得て、「よかった探し」をしながら、日々感謝して暮させてもらっています

「桂籠花入」は見ていた!!

千利休が、桂川川漁師の腰に下げでいた魚籠(びく)を花入れにと譲り受けたものであります。利休の侘茶の精神を表すものとも言われます。利休愛用の花入れは、その子少庵、またその子宗旦、その高弟・山田宗偏(やまだそうへん)と伝わりって行きます。
現在は、香雪美術館(神戸市東灘区)の所蔵です。

 

9、10年ほど前に行われた開催に、この美術館に足を運んだことがあります。
利休と中興の祖にまつわるテーマであったと記憶しています。
この美術館、毎日開館されておりません。年に何度かの開館です。ものすごい逸品ばかりに驚かされています。
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この桂籠花入も展示されていました。

 

一緒にあの有名な竹の花入「園城寺」もあったのも印象的でした。言われは、割れているからですね。滋賀の園城寺の割れた鐘にもじっています。
ですから、水を入れると水が漏ります。後ろに園城寺 少庵と名前が彫られて朱色に色が入っていたと記憶しています。

 

名物「園城寺」は利休の手作りです。割ったのは太閤秀吉です。気に入らないと庭の石にぶつけて壊しました。それを捨てずに、その姿が気に入り、愛用の花入れとしたといいます。
こちらも利休の侘茶の世界を垣間見た心持ちです。

 

話は、桂籠花入に戻ります。
当時はまだ焼物を花入れてせず、竹で茶人が作っていたようです。茶杓も利休本人が削ったものが幾つも残っています。本人の道具に対する感覚もやはり侘茶の世界がありそうです。
この桂籠は先にも書いたように京都・桂川の漁師が使っていたものです。

 

なんともとぼけたような、それでいて田舎の古い家で探せば出てくるような使い込まれた魚籠(びく)です。すこし歪んだ形に美を求めます。円ならコンパスで書いた円でなく、少し歪んだ楕円のような形に美を求めます。ぬくもりが有るんでしょうね。

 

未完成の妙です。完成されたらそれで終わりです。ですから、完成に近づけるためにあえて未完成のままにします。これは多くのものに共通する考えのようです。

 

ウォルト・ディズニーも「ディズニーランドは、ずっと未完成のままである」と言われたとも聞きます。常に完成を求めるために努力があるのですね。
心に届く先人の精神です。

 

この桂籠花入そうした茶の精神を表す道具の名品です。
しかし、この花入れを世間で有名にしたのは、赤穂浪士と言うことになります。
この花入れは討入り前日から吉良邸にありました。前日の江戸での最後のお茶会を開くために、山田宗偏が利休ゆかりの名品を持ち込んでいたのです。

 

知ってか知らずか、ちょうどいい大きさでした。
何にかというと討ち取った吉良の御首(おしるし)です。上杉が大挙の兵を伴って吉良の首を取り戻すのを阻止するために、デコ(身代わり)に使ったんです。

 

一番槍の手柄を立てた間十次郎(はざまじゅうじろう)の槍先には、この花入れを風呂敷に包み、くくり付けたのです。本当の御首は舟で運ばれたようです。
ですから、この花入れは底に疵が見えます。槍に当たって出来た疵です。
赤穂浪士の討ち入りを、もっとも間近で見てきた歴史の証人でもありました。
利休もびっくりでしょうね。

 

この話を本で読んで知っていましたので、両方に興味がありました。
私は、どうしても本物が見たかったのです。
見た感じは、思っていたより小さいと思った記憶があります。
茶の世界は難しい専門家の世界です。私のようなド素人の入る余地はありません。

 

しかし、侘寂(わびさび)も特別な世界ではないように思います。
日々の生活であったり、四季の移ろいであったりと、人間の普通の営みの中にあると思います。

 

花を見て美しいと感じ、月を見てきれいと感じ、四季の旬の食材に心と舌を喜ばせて生きて行きます。自然との付き合い方こそが、侘寂(わび)に通じると考えています。

 

特別な世界ではない。
自然と付き合い方は、四季は毎年巡ってきますが、一度として同じ季節はなく一度として同じ自分はいません。
時間は二度同じものがない。
一瞬一瞬が勝負です。
ですから、一期一会なんでしょうね。
お茶にも二度として同じはないはずです。満足する手前はないはずです。未完成のまま、それが精進させる資質です。

 

日々の生活でも同じです。
何か精進する意識を持って生きるそれが大切であると、手前勝手に学んだような気になっています。いつも生きているのでなく、生かされていると、そこに気づかずにはおれません。
感謝の気持ちを持ち続けることは、「未完成の自分」を教えてくれます。

 

今日もありがたいと精一杯生きたいです。

 

最後までお付き合い下さいました方あっても、私です。
読んで下さったことに心よりお礼申し上げます。