''かんとうしょうえ''の痛風日記

一病息災と心得て、「よかった探し」をしながら、日々感謝して暮させてもらっています

休日に、美術館に行こうか より。

昨日の記事に続いて、大阪北浜辺りからです。
遅めランチを済ませてから、小雨が降る中、大阪市立の東洋陶磁美術館に向かいました。

 

この日、11月3日は、大阪市の太っ腹企画の無料ディーでした。
何とも剛毅です。
私たちには、嬉しい企画でもありました。

 

大阪市のご誠意を受けて、無料で拝観させて貰いました。
玄関には、その旨の掲示がありました。
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「よぉー、大阪市の太っ腹」
この日は、文化の日ですから、こうした企画がいろんな所でもあったはずでした。
特に、大阪市立の東洋陶磁美術館にした理由はありません。
前回の京都国立博物館での陶磁展に、起因しているような気もします。
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今回は、中国古陶磁清玩(せいがん)です。
特別展は「イビョンチャンコレクション韓国陶磁」、平常展は「安宅コレクション中国・韓国陶磁、日本陶磁、沖コレクション鼻煙壺」と盛りだくさんです。
好みもいろいろですが、日本の緻密な陶磁器は、素晴らしいと思います。
韓国や中国の陶磁器を見て、改めて日本の陶磁器の良さを再確認です。

 

それに、日本の展示の中に、鼠志野や織部と皿などもあって、この辺りが私にとって心地よいです。
土の陶芸も陶磁器との対比も、いろいろと楽しめました。
この東洋陶磁美術館に来たら、見たいものがあります。
国宝 「飛青磁 花生」 龍泉窯 元時代(13~14世紀)と、国宝「油滴天目 茶碗」建窯 南宋時代(12~13世紀)の二つを見たいと思います。

 

今回の展示で、国宝 「飛青磁 花生」 龍泉窯 をじっくりと鑑賞しました。
素晴らしい出来です。
均整の取れれた形が素晴らしい。
青磁の中に、浮かび上がる飛んだ蝶のような文様に、じっと食い入るように見ていました。

 

知らない人が見たら、ちょっと可笑しい人です。
相方も、いつものようにあきれ顔です。

 

青磁の茶碗と言えば、重文 青磁茶碗(せいじちゃわん)「 銘 馬蝗絆(ばこうはん)」が、頭に浮かびます。(東京国立博物館所蔵)
同じ龍泉窯の青磁の茶碗です。
あっちが、重文、こっちは国宝です。

 

日本に伝わった青磁茶碗を最も代表する優品の一つです。
江戸時代の儒学者の伊藤東涯が記した『馬蝗絆茶甌記』に由来が記されていると聞きます。
もともとも室町時代の将軍足利義政がこの茶碗を所持していた。

 

ある時、ひび割れが生じたため,代わるものを中国に求めたのですが、当時の明時代の中国には、もはやそのよう官窯はなく,鉄の鎹(かすがい)でひび割れを止め修理されて、送り返し来たとあります。

 

逆に、この鎹(かずがい)を、大きな蝗(いなご)に見立てて,馬蝗絆(ばこうはん)と名づけられた記されているようです。
確か漫画『味しんぼ』の14巻でも、この馬蝗絆(ばこうはん)が登場します。
ご存知の方も多いと思います。

 

鎹(かすがい)と言えば、落語『子別れ』が思いつきます。
柳派の初代春風亭柳枝創作落語のようです。
名人と言われるような方は、この人情噺を、十八番にされている事が多いです。

 

本当は長い噺です。
でも、よくやられるのは、後半からの立ち直った大工で熊五郎と番頭さんと歩くシーンからです。
その途中で、別れた子供の亀坊とばったり出会います。

 

長年の、大酒飲み、女郎買い、こちらが、熊五郎とお光の夫婦が別れた理由です。
その吉原の女郎と別れた時の歌が、いいですね。

 

手に取るな やはり野に置け 蓮華草

 

家に蓮華草は、似合いません。
野にあって、初めていいと思える蓮華草ですからね。

 

外で食べる食事と、家で食べる食事でも同じです。
毎日、味の濃い脂っこい食事は、体によくないです。
毎日でも、食べられる家庭料理こそ、家庭で合います。

 

別れたお光が、女一人で、亀坊を育ちる話に涙をそそります。
子供が怪我をさせられても、した子供の親から仕事をもらっていると、文句も言えず泣き寝入りです。
お光が、不憫で仕方ないです。

 

別れた夫婦も、嫌いで別れたわけではないですから、子供がいたら、その子供が鎹(かすがい)となって、元の鞘に戻ります。
良かった、良かったのハッピーエンドがいいです。

 

とは言いながら、この鎹(かすがい)の形を知らないと、意味がわかりませんよね。
最近の若い方は、この鎹(かすがい)をしりません。
ホッチキスの針と言うか、弾と言うか、そんな形です。
古い日本家屋には、柱と柱を止める所に、打ち込んであります。

 

心に届く人情話は、いいですね。
鰻が食べたくなりました。
それに、燗酒もいっしょ頼みたくなります。
鰻が出て来るまで、お新香で、呑まなくてはいけませんけどね。

 

いい文化的な一日を過ごせました。
太っ腹の大阪市殿、ありがとさんです。

 

日々の暮らしの中に、ささやかな幸せがあります。
ありがたい仏縁を得たと、感謝しております。

 

心の三毒を廃し、心静かに安穏に暮らしたいです。
それを願うばかりです。
今日も一日、私も世の中も、平穏無事でありますようにと念じます。

 

最後まで、正眼に構えた元鞘の話に、お付き合い下さいまして、心よりお礼申し上げます。